【前編】“ヒトを中心に情報を拡散する”インフルエンサーマーケティングで10代の心をつかむ

10代のトレンド

インフルエンサーマーケティング──ソーシャルメディアで多くのフォロワーを抱える情報発信力の高いインフルエンサーを活用し、イベントやPRなど様々なプロモーション活動を行うこと。ヒットを仕掛ける新たなマーケティング手法として、注目を集めている。その先駆者的な存在が、「LIDDELL株式会社」の代表取締役 福田晃一氏だ。ティーンマーケットでも重要なソーシャルメディア、その活用方法とインフルエンサーマーケティングの未来を伺った。

 

■トレンドの発信は“個の時代”へ ユーザーの動向変化に合わせたマーケティングをする

タレントの影響力を活用して広告プロモーションを行う、芸能プロダクションとマーケティングのハイブリッド型の会社として2006年に株式会社ツインプラネットを2名代表で創業。ギャルに特化した“日本一のギャルマーケティング会社”という独自の手法により、多くのヒット施策を手掛けてきた。そんな福田氏が、2014年に新たなクリエイティブブティックとして創業したのが「LIDDELL株式会社」だ。

 

福田:“人を中心としたマーケティングをする”という土台は変わらずに、デジタルをベースにインフルエンサーマーケティングをするプラットフォームをつくりたいと思い、新たに会社を立ち上げました。

 

その意図は労働集約型から知的集約型へ。ソーシャルメディアの台頭によるユーザーの動向の変化に合わせたマーケティング手法に特化すべきだ、という考えからだ。

 

福田:今はソーシャルメディアの台頭により、どんどん“個の時代”へ変化しています。事務所に所属しなくてもニコニコ動画やYouTubeを活用して番組が作れてタレントになれる、自分のオウンドメディア(SNS)を運営して月数百万稼ぐ女子大生だっています。どんな人でも情報発信ができ、セルフプロデュースで発信力の高いインフルエンサー=オピニオンリーダーになれる時代。

4マス広告に出しておけばヒットするという時代は終わりました。OOHを見て「買ってみたい!」と思う人はほとんど居ませんが、自分が信頼しているインフルエンサーが本心でおすすめしたものには人が動きます。つまり“誰”が発信しているのか、がますます重要になっているのです。

 

インフルエンサーマーケティングに特化した「SPIRIT(スピリット)」という自社サービスを立ち上げ、去年から企業の注目も集まり始めた。しかしインフルエンサーマーケティングを本当に理解している企業は少ないと、福田氏は話す。

 

福田:ソーシャルメディアがトレンドを作っていることが結果としてわかっても、プロセスがわからないという企業様は多いです。プロセスはとてもシンプルですが、インフルエンサーという存在自体や特性を理解していない企業が多いのがそもそもの問題だと思います。ソーシャルメディアを活用したいと話すのに、SNSのアカウントを持っていなかったり、自分で使ったことがなかったり、持っていてもブランドイメージと合わないものだったり。市場動向や心理を理解していないと難しい市場なのに、知らずに飛び込むのは危険ですよね。

企業が流行りを取り入れるのは周回遅れの場合が多いですから、恐らく企業がInstagramを運用開始するピークは今年度末です。遅いですよね。もしかすると消費者は次のソーシャルメディアに移行しているかもしれません。もっと柔軟に、とりあえずやってみることで特性を理解できると思います。

 

■読者モデルからインフルエンサーに、109からインスタグラムに代わった

二の足を踏みやすい手法ではあるが、きちんと考えれば、かつてのマーケティング手法と同じ仕組みなので理解しやすい、と福田氏は続ける。

 

福田:若年層のマーケティングをしていた2005年当時は、渋谷がトレンドの街でした。強烈な個性を持ったギャル達がトレンドセッターで、SHIBUYA109がトレンド発信の中心地。SNSがなくても、影響力の強いギャルたちが発すると、口コミでストリートから情報が広がり、それをメディアが話題にし、さらに広がっていくという循環が生まれていました。

今もツールが置き換えられただけで、仕組みは同じです。ギャル=トレンドセッターがインフルエンサーに代わり、ストリートがインターネットになり、トレンド発信スポットが109からソーシャルメディアに代わっただけです。

 

仕組みは変わらないが、ユーザーの動向は変わった。流行の発信はインターネット、特にソーシャルメディアになり、その使い方、そしてニュースの在り方自体も変えている。

 

福田:TwitterやInstagramは使い方が投稿型から検索型に変わってきています。例えばコスメの良し悪しなどに関して若年層はYahoo!やGoogleではなく、まず初めにTwitterで検索して情報収集するんですよ。それは個人がリアルな言葉でレビューを書いているので、率直な感想がわかるから。

だからこそ、ニュースの在り方も変わってきています。Yahoo!トピックスをみているティーンっていますか?「昨日ヤフトピ見た?」って会話、絶対しませんよ(笑)

 

福田:やはり雑誌も読まれなくなっていて、雑誌のモデルになりたいと言っている女の子に、どんな雑誌読むの?と聞いても「読みません、インスタで洋服見てます」と言う。そんな雑誌の1ページに掲載されても多くの人に届く保証はない。今、若年層の可処分時間を消費するのはテレビでも雑誌でもなくソーシャルメディアです。多くのフォロワーを有する一般の子たちが発信影響力の大きさが4マスと言われる主要メディアからSNSに変わってきていると思います。

もちろん、雑誌の力、テレビなどの重要性は別のところにあり非常に大きな影響力はあります。

 

▲セーラームーン展の様子

 

昨年、六本木ヒルズで行われた「セーラームーン展」ではセーラームーンが好きなインフルエンサーをSPIRITの公募型で募集、10万フォロワーいるアカウントを持つ人からも応募があり、企画との親和性が高いインフルエンサーによる発信は目に見える効果があった。

 

福田:イベント情報を誰に届けたいのか考えた時、答えはセーラームーン世代が好きなユーザーですよね。大衆向けにメディアで発信するよりも、親和性の高いインフルエンサーがフォロワーに発信するほうが訴求力は高いと思いました。そこで、通常の記者会見にインフルエンサーにもプレスとして参加してもらいました。メディアと並んで、一緒に写真を撮って。結果、どのメディアよりも早く情報拡散され展示は連日行列ができました。

 

▲インフルエンサーが撮影している様子

 

インフルエンサーとプロモーションをすると「広がりを感じる」と福田氏は話す。それは前職でも同じことを感じたそうだ。

 

福田:前職の創業当初はギャルに特化していました。ギャルのマーケティング活用は広がりがあったからです。当時のギャルはトレンドセッター、彼女たちが発信することはバズを起こしやすかったです。バズを起こすための重要なフックは「ギャップ」。環境省とマイ箸やビーチクリーン、農水省とギャルが農業をする農ギャル(ノギャル)などを仕掛けました。環境保護など、真面目なテーマには全然興味がないというイメージを持つギャルが、実は環境保護に目を向けて活動をしているというギャップはインパクトがあり、反響も大きかったです。

 

数々のインフルエンサーマーケティングを成功させてきた福田氏は、「インフルエンサーマーケティングとティーンマーケティングは似ている」と話す。そこには「3つのポイントがある」と教えてくれた。

 

【後編】“ヒトを中心に情報を拡散する”インフルエンサーマーケティングで10代の心をつかむ

 

 

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ライター:羽佐田 瑶子
日本文化と食と寅さんを愛する87年生まれのライター(@yoko_hasada)。神奈川県出身。伝統文化、工藝、アイドル、映画など伝統文化からサブカルチャーまで幅広く執筆。Quick Japan、しごとなでしこ、SENSORSなど。好きなものは、美しくてロマンチックなもの(短歌や岡崎京子や日本民藝館)。生息地は下北沢と鎌倉。
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